当院では、術前と術後に、口腔内の写真を撮らせていただきます。
それは、どんな説明よりも、実際に写真を見ていただくほうが、患者様にとって現状を把握していただきやすいと思うからです。
また、患者様と情報を共有できる、治療方針が立てやすくなる、お口の変遷を知ることができる、など様々なメリットがあります。ここでは、これから治療を検討されている方のために、代表的な症例を毎月更新していきます。
30代女性、左下6番の歯に穴が空いたので来院。
この歯はすでに虫歯の治療済みで金属の詰め物が装着されていて、隣の5番の歯との間が破折。痛みなどの症状はなし。
奥歯(大臼歯)に保険適用のCAD冠を装着するには条件があります。
【CAD冠ができる条件】
・金属アレルギーの方(金属の被せ物を入れることがない方)
・上下顎第二大臼歯(7番の歯)が残存していて、左右咬合支持がある下顎第一大臼歯(6番の歯)のみ
症例により出来ない場合もありますので、詳しくはご相談ください。
20歳代女性、左下6番の歯に物がつまると来院。また白い被せものを希望。
自費のメタルボンド冠(48,000円:税込み)を入れました。
自費の白い被せ物の特徴
長所:クリアランス(スペース)がなくてもでき、保険適用のCAD冠より破折しにくい。
短所:自費のためCAD冠より値段が高い。
初診:H27年2月。
再初診:H30年10月。学校健診で要注意乳歯で紙をもらい再来院。
3年間1度も来院せず、上顎右・左2番が口蓋より生えてきている。
麻酔して抜歯が必要なことと、抜歯してもきれいな歯並びになるかは微妙である旨を説明。
子供は「子ども医療費支給制度」があり、医療費が0円のため生活費が節約できる長所がありますが、反面、何かないと来院しないという短所があります。
そのため予防の意識が低く、歯肉炎や歯並びの悪い子供が増えています。
初診:H27年3月。30歳女性。
右下6番の詰め物が取れて来院。CR(コンポジットレジン)を充填。
再初診:H30年8月。右下が痛いと3年ぶりに来院。右下5番にむし歯。
歯の神経を取らなくてはいけないほど進行していたので、抜髄をし、CAD冠(保険適用の白い歯)をセットしました。
※定期的なメンテナンスをしていれば、初期のむし歯の段階で治療ができ、抜髄を避けられたかもしれません。
CAD冠の特徴
長所: 見た目がよい、金属アレルギーがない。
短所:金属と比べ、よわい・金額が高い。 セラッミクと比べ、変色する。
初診時に前歯希望で来院し、前歯部を入れた症例。
7年ぶりに来院。メンテナンス不足で前歯の状態が悪化。
こちらの症例の場合、初診時はメンテナンス不足から治療が必要な状態になってしまったのですが、治療した後もメンテナンスを怠っていたため、再度、治療しなくてはいけない状態に。
「悪くなったらまた治療すればいい」と思われがちですが、一度治療した歯は、もう一度同じ治療をできることが少ないです!
ですので、治療後にメンテナンスをしっかり行うことが重要です。
右上に穴があいたので来院。
むし歯の取り残しを確認したため、再治療をしました。
むし歯治療の約8割が、処置歯(既にむし歯治療をしたことのある歯)です!
つまり、この症例でもそうですが、いかに「むし歯モドキ」を見逃さずに治療し、その後もメンテナンスを行うかが重要になります。
2症例とも20代男性。歯が痛いと来院。
多数にわたる未処置歯あり。
ここまで放置する理由として
1.治療回数がかかる ⇒面倒くさい。
2.金額がかかりすぎる ⇒たかだか歯の治療でお金を払いたくない。
3.麻酔が苦手・治療が怖い
4.子ども医療券が使えなくなったから(現状中学3年生まで無料のため)
※3割分を払ってまで予防にかけたくない。
などが挙げられます。
14歳。穴があいたと来院。
元々、左下の奥歯(6番)にCR(コンポジットレジン)の処置がされていて、それが取れてしまった。
取れてしまった部分はCR(コンポジットレジン)で処置。一番奥の歯の溝には着色があったので、シーラントで処置しました。
削る処置と削らない処置の区別
- ・削る処置:穴があいている。
- ・削らない処置:溝が着色している。
奥歯の場合、噛む力が強いので、CR(コンポジットレジン)で処置すると取れてしまう事があります。 削る必要のない歯の溝の着色の場合は、シーラントで処置します。
40代男性、上顎前歯の色が気になり来院。
左上にハードレジン前装冠(金属の側面に白い樹脂を貼り付けたかぶせ物)と、右上にCR(コンポジットレジン)での処置あり。ともに失活歯(神経が死んだ歯)。
これらを除去して自費のかぶせ物(オールセラミック)1本8万3千円(税込)を入れました。
オールセラミックの種類
オールセラミックとは、金属を使用せずセラミックのみで作られた白い歯のことです。素材にはいくつか種類があります。
- ・ジルコニア
- ・ガラス
- ・アルミナ
患者様の症状やご要望にあわせ、相談しながら素材を決めます。
今回の症例で装着したのはジルコニアオールセラミッククラウンです。
長所:金属アレルギーがない、変色がない。他のオールセラミックに比べ透明性が高く、歯肉が明るくみえる。
短所:自費治療なので高価。素材が自然の歯より硬いので、対合が削れる可能性がある。
当院では出来る限り歯を残す治療を行っていますが、抜歯を回避できない場合があります。
- 1.歯周病が進行し、歯がぐらぐら動いている
- 2.歯の根本しかない(残根)
- 3.歯の根本までむし歯
- 4.破折(歯の折れ、割れ)
このようになってしまう原因は、すべてメンテナンス不足です。
歯周病は適切な処置をすることで進行を防げますし、むし歯も歯の根まで到達する前の段階で発見すれば、抜歯せずにすみます。
破折の原因は、歯にかかる力(歯ぎしり等)や咬み合わせ、神経を取ったことによる歯質の劣化でもろくなるなどありますが、転倒して歯が折れてしまったという様な理由以外はどれもメンテナンスをしていれば防げることです。
歯周病やむし歯がひどくなる前に処置することで、抜歯になる可能性はぐんと減ります。
ぜひ、定期的なメンテナンスをうけて、ご自身の大切な歯を守りましょう。
初診:H28年、来院時4歳。H29年4月、6歳臼歯が出てきた。
H30年6月、同年2月にはなかった溝着色あり。着色から虫歯になる可能性は高いが、その部分を削ると虫歯の再発が多いのでシーラントで処置しました。
その後、久しぶりに15歳で来院。
6歳臼歯を他院で治療後、2次カリエス(治療後に詰めた物の隙間からできた虫歯)あり。
虫歯は治療して白い詰め物を入れ、一番奥の歯の溝着色にはシーラントで処置しました。
6歳臼歯は6歳頃に生えてくる永久歯で、食べ物を噛んだりすりつぶすのに重要な役割を持ち、上下の歯の咬み合わせにも影響する重要な歯です。
しかし、一番奥にあるため歯ブラシが届きにくく、さらに歯の溝も深いため、汚れがたまりやすい傾向にあります。そのため、虫歯になることが多く、一番寿命の短い永久歯のひとつです。
この大切な歯を虫歯にしないためにも、お子様が小さいうちはしっかりと仕上げ磨きをし、定期健診をうけ、適切なケアをすることがとても大切です。
20代女性:右下の親知らずが痛いと来院。
下の前歯裏を見ると、歯石がこびりついていて、何年も歯科を受診していないことがわかります。
20代男性:左下の親知らずが痛いと来院。
歯肉が腫れる原因は、 1.口腔衛生不良、2.喫煙、3.不規則生活などがあります。
お口の中の衛生については、毎日ご自身でしていただくことにプラスして、定期的な健診をうけ、メインテナンスを行うことで口腔内を良好に保てますので、急に痛みや腫れがでて困ることがないためにも定期健診をうけましょう。
初診:50代男性。右下の歯が削れてきたと来院。
処置:麻酔をしてCR(コンポジットレジン)を充填しました。
CR(コンポジットレジン)充填の利点は、治療が一回で終わり、色も白く違和感がない事ですが、時間が経つと周りが茶色に変色し、また削れてくるという欠点もあります。
こちらの症例の場合、奥の歯が無く、義歯を入れてないため、今回治療した4番と5番の歯がグラグラ(動揺)してきます。義歯を入れないとすると4番と5番の歯は連結して固定するのが望ましいでしょう。
初診:小学1年生。健診でむし歯と言われ来院。
以前より定期的に受診していたが、しばらく間が空き、むし歯を指摘され2年ぶりに受診。
右上の乳歯にむし歯と、6番の歯(初めて出てくる大人の歯)を確認しました。
お子様のむし歯を予防するには、定期的な健診がとても大切です。今までむし歯が無くても、しばらく健診をしない間にこのようにむし歯になってしまう場合が多くあります。
次に生えてくる永久歯を守るためにも、しっかりと定期健診を受けましょう。